漂流

漂流(新潮文庫)

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相変わらず寝不足な日です

でも今回はネガティブな理由ではなく、この本が面白くて。

またもや荒しい自然との脅威に晒されるお話ですが、何がすごいって、これが事実に基づいたノンフィクションだということ。

江戸時代に漂流してしまった船乗り達が、無人島で果てしない年月を過ごし、ラストには島から脱出を試みるという壮絶なお話。

この無人島、鳥島という伊豆諸島の小さな火山島で、かつてはおびただしい数のアホウドリの生息地だったのですね。

Souce:Wikipedia

とーい。。

湧き水も土も穀物も植物もないこの枯れた地で彼らが生き延びられたのも、このアホウドリを叩き殺して食べていたから。

もちろん中には病気になったり、自殺を図って亡くなった人もおり、主人公の長平という男性もたった1人で約1年を過ごしたのですが

彼が鳥島で生き延びた13年間!に2度他の漂流者が辿り着き、彼らも710年そこで過ごすのです。。

その強靭な精神力に驚かされる。

この本を読んでいるうちに、いつの間にか自分もサバイバルモードになっていて笑、この状況で何ができるだろうかと長平たちと頭をひねったり、いざという時は水と火は確保しようと心に刻んだり。。

そしてしつこいくらいにこのお話の中で何度も語られるのですが、体調を崩して亡くなっていった者に共通するのは

体を動かすのをやめ、色な食材を食べようとしなかった

ということ。

色な食材ってそもそも島にはないんですが、それでも鳥肉だけでなく、貝や魚、海藻も時食べることで生き延びることができたんですな。

そしてこの、体を動かす適度な仕事をする、というのは精神にも良く、改めて人間には労働が必要なのだなと思った次第。

日常生活の基本中の基本って、本当に生きる上で不可欠なのね。

邂逅の森を読んだ直後だったので、初めの数十ページは無駄なものを削ぎ落とした淡白な描写になかなか気持ちが乗っていかなかったのですが

荒波に揺れる船の中で死の恐怖と闘うあたりから、淡とした語り口が逆に功を奏し、もう怖いったらありゃしない。。

そこからは夢中になって一気に読んでしまいました。

心が震えるような感動ではなく、こんな体験をした人がいたのかと、その事実におののくという意味で非常に読み応えがありました。

そしてやっぱり古い時代のお話って好きだな。

吉村昭さんの本は以前高熱隧道を読んだことがありますが、この方の本は小説というより何かの記録書を読んでいるような感覚を覚えます。

こういうリアルさもたまには良い。

高熱隧道(新潮文庫)

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